メディコム株式会社 代表取締役の木村です。
今回はBtoBビジネスをされている経営者の方に向けて、AIでの検索が増えていくなかで自社サイトのどこから手を入れるべきかというお話をします。
結論から書きます。
最初に着手すべきは導入事例ページです。
もし守秘義務などで事例を出せないのであれば、その代わりに個別のユースケースページを作るべきだと考えています。
なぜそう言えるのか、Googleの公式見解と官公庁のデータを引きながら順に説明していきます。
※あくまで木村の意見であり、こうすれば必ず上位表示するとGoogleが言っているものではありません。
検索の入口はすでに変わりはじめています
生成AIを使う人は2年で6倍以上に増えました
総務省が2026年7月に公表した令和8年版 情報通信白書によると、日本で生成AIを使ったことがある人の割合は58.8%でした。
2023年度調査では9.1%、2024年度調査では26.7%です。
2年で6倍以上に増えたことになります。
なお2025年度調査から15歳から19歳が対象に加わっているため、過去と同じ20歳以上の条件で比べると52.2%です。
条件を揃えても2年で約5.7倍で、2人に1人は使っている計算になります。
企業側の数字も出ています。
すでにデジタル化に着手している企業の管理職に限った調査になりますが、何らかの業務で生成AIを使っている割合は86.4%でした。
御社の商品を検討している担当者も、この中に含まれていると考えるほうが自然だと思います。
検索結果の半分近くにAIの回答が表示されています
Google検索でAI Overviewsが表示される割合は、Similarwebの計測で43%、Semrushの計測で約48%でした。
同記事によると、1年前は13%から20%程度だったとされています。
とくに情報収集を目的とした検索では、この平均を上回るとも報じられています。
BtoBの検討プロセスは、まさにこの情報収集から始まります。
AI検索では、検索する言葉そのものが変わります
Googleは「より長く、より具体的な質問」になると言っています
Google検索セントラルのブログに次の記述があります(2025年5月21日)。
where users are asking longer and more specific questions — as well as follow-up questions to dig even deeper
ユーザーはより長くより具体的な質問をしており、さらに深く掘り下げるための追加質問もしている、という趣旨です。
ひとつ補足です。
同じ記事の公式日本語版では、この「longer(より長い)」の部分が「より複雑で」と訳されています。
日本語版だけを読むと長さの話が消えてしまうため、原文にあたるほうが正確です。
数字の話も出ています。
インタビュアーが「クエリが2倍から3倍長くなっている」と切り出したのに対し、Google検索責任者のElizabeth Reid氏はそれを前提として受け、なぜ長くなるのかを説明しています(Search Engine Roundtable、2025年10月1日)。
理由として挙げているのは、人々がより多くの文脈と制約条件を与えるようになったことです。
長い質問とは、つまりお客さんが普段口にしている言葉です
ここからは自分の見立てになります。
検索の言葉が長くなるということは、単語を並べる検索から、悩みをそのまま文章で投げる検索に変わっていくということです。
これまでの「勤怠管理システム 比較」が、「拠点が10箇所あって直行直帰の社員も多いのですが、そういう会社に合う勤怠管理の仕組みはありますか」に変わっていきます。

後者はキーワードというより、お客さんの相談そのもの。
そしてこの言葉は、御社の社内にすでに大量にあります。
- 問い合わせフォームに書き込まれた文章
- 商談の冒頭で先方の担当者が話した困りごと
- 導入後のヒアリングで出てきた「実は前はこれで困っていて」という一言
これらがそのまま、これからの検索キーワードになります。
手を入れるべきは導入事例ページです
Googleは「業種別のケーススタディ」を名指しで評価しています
2026年6月18日にミラノで開催されたGoogle Search Central Liveでの発言が報じられています(Search Engine Roundtable、2026年6月19日)。
なおこれは登壇スライドを参加者が共有したもので、Googleの公式文書に載った文言ではありません。
Googleが評価するコンテンツとして挙げられたのは次の3つです。
- Unique:複製できない視点であること
- Specific:業種別のケーススタディ分析であること
- Authentic:現場での一次的な経験に基づくこと
ケーススタディという言葉がGoogle側から出てきている点が重要です。
Googleが2026年7月10日に更新した公式ガイド「Google 検索の生成 AI 機能向けに最適化するための Google のガイド」にも、同じ方向の記述があります。
Don’t just recycle what others on the internet have already said, or could easily be produced by a generative AI model.
インターネット上で他者がすでに言ったことや、生成AIモデルが容易に作れるようなものを再利用するな、という趣旨です。
同ガイドは、独自で有用なコンテンツを作ることが、ガイド内の他のどの提案よりも生成AI検索での存在感に影響すると述べています。
導入事例は、この条件をそのまま満たします。
自社の顧客に何が起きたかという事実は、競合他社にもAIにも書けません。
事例に書くべきなのは、成果よりも導入前の困りごとです
多くの導入事例ページは、成果の数字で締められています。
作業時間が何%減った、売上が何倍になった、という形です。
もちろん成果は必要ですが、AI検索の入口になるのは導入前のほうです。
検索する人はまだ成果を知りません。
自分と同じ困りごとを抱えた会社を探しています。
ですから事例の冒頭に、その会社が導入前に何に困っていたかを、担当者が話した言葉のまま書いてください。
「月末の3日間は経理が全員残業していました」という一文が、そのまま誰かの検索文になります。
社名や業種、従業員規模、拠点数といった条件も併記してください。
自分の会社と重なる条件が並んでいるほど、読み手は自分ごととして受け取ります。
事例が出せないなら、ユースケースページを作ってください
BtoBでは、顧客名を出せない業界が少なくありません。
守秘義務がある場合や、そもそも導入企業がまだ少ない場合もあります。
その場合は導入事例の代わりに、ユースケースページを作りましょう。
顧客の実名は伏せたうえで、どういう状況の会社が、どういう使い方をしているかを1ページずつ独立させます。
「多拠点の建設業で使う場合」「経理が1名しかいない製造業で使う場合」といった単位です。
サービス紹介ページの中に見出しとして埋め込むのではなく、独立したページにしてください。

量産するとスパムとして扱われます
先ほどのGoogle公式ガイドは、人々が検索しうるあらゆるバリエーションごとに個別ページを作ることについて、それが主に検索順位や生成AIの回答を操作する目的で行われる場合はscaled content abuse(大量生成されたコンテンツの不正使用)のポリシー違反にあたると明記しています。
あわせて、ページ数を増やしてもサイトの品質や関連性は上がらないため長期的に有効ではない、とも述べています。
判断の分かれ目は、そのページに固有の中身があるかどうかです。
条件だけを差し替えた似たようなページを50枚作れば、それは量産です。
実際にその状況の顧客がいて、その顧客特有の事情が書かれているなら、それは1枚ずつ意味のあるページになります。
無理に数を揃えず、書ける分だけ作るほうが安全です。
効果の確かめ方と、やらなくていいこと
Search Consoleで表示回数が見られるようになりました
Googleは2026年6月3日に、Search Consoleへ生成AIパフォーマンスレポートを導入しました。
自社のURLがAI OverviewsやAI Modeに表示された回数を確認できます。
その後段階的に対象が広がり、2026年8月11日時点では多くのサイトで見られるようになったと報じられています。
しかし全ドメインで見られるわけではありません。
GoogleのJohn Mueller氏は、まだすべてのドメインが対象ではないと述べています。
十分なデータがある場合にのみ表示される点も、あわせて説明されています。
見られるのは次の4つです。
- 表示回数
- ページ別の内訳
- 国別とデバイス別の内訳
- 日付ごとの推移
現状ではクリック数とクエリのデータは含まれていません。
構造化データの追加は、優先度を上げなくて大丈夫です
AI検索対策として構造化データの追加を勧められることがあります。
Googleの公式ガイドは、生成AI検索のために構造化データは必須ではなく、追加すべき特別なマークアップもないと明記しています。
Ahrefsが2025年8月から2026年3月にかけて実施した調査も報じられています(Search Engine Roundtable、2026年5月13日)。
JSON-LDを追加した1,885ページと、対照群4,000ページを比較したものです。
Google AI Overviewsでの引用は、追加した群のほうが4.6%少ないという結果でした。
構造化データはリッチリザルトを狙ううえで引き続き有効ですので、やめる必要はありません。
しかしAI検索のために優先して手をつける施策ではない、というのが現時点での見え方です。
同じ工数をかけるなら、事例を1本増やすほうが効きます。
まとめ
AI検索が増えると、検索の言葉はお客さんの相談そのものに近づいていきます。
その相談に最も近い形で答えられるのが、実際に同じ状況の顧客がどうなったかを書いた導入事例です。
事例が出せないのであれば、状況ごとのユースケースページで代替できます。
そして書くべき言葉は、キーワードツールではなく問い合わせと商談の記録の中にあります。
導入事例とユースケースは、ゼロから作るものではありません。
すでに社内にある会話を、検索できる場所に置き直す作業です。
まずは直近の問い合わせを10件読み返すところから始めてみてください。
参考にした情報源
– 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2026年7月公表)
– 中小企業庁「2026年版 中小企業白書」(2026年4月24日公表)
– Google 検索セントラル ブログ「Top ways to ensure your content performs well in Google’s AI experiences on Search」(2025年5月21日)
– Google 検索セントラル「Google 検索の生成 AI 機能向けに最適化するための Google のガイド」(2026年7月10日更新)
– Google 検索セントラル ブログ「Introducing Search Generative AI performance reports in Search Console」(2026年6月3日)
– Search Engine Roundtable「Google Speaks On Chunking, Site Signals, Content, Paywalls & AI Clicks」(2026年6月19日)
– Search Engine Roundtable「Almost Half Of Google Searches Have AI Overviews & Climbing」(2026年7月30日)
– Search Engine Roundtable「Elizabeth Reid, Head Of Google Search, Interviewed On AI, Search, SEO & More」(2025年10月1日)
– Search Engine Roundtable「Study: Adding Schema Did Not Improve AI Citations On Google, ChatGPT & More」(2026年5月13日)
プロフィール

- 代表取締役社長
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2009年からSEO業界に参入し、2012年からは自身でアフィリエイトメディアの運用を開始。今日に至るまで、不動産・葬儀・印刷業など様々な分野のウェブサイトコンサルティングを担当。
現在は放置山林問題解決に向け”YAMAKAS”というサービスを開始。
https://yamakas.jp/




