メディコム株式会社 代表取締役の木村です。
今回はBtoBビジネスをされている経営者の方に向けて、自社サイトをどこから改善するかというお話をします。
サイトの改善というと、デザインの刷新や全体のリニューアルを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし順番さえ間違えなければ、手を入れるページは3つで足ります。
その3つが会社概要、選ばれる理由、導入事例です。
そしてこの3つに、同じ力をかけてはいけません。
どこにどれだけ配分すべきかを、実際の検索データとGoogleの公式見解を引きながら説明していきます。
サイト改善で見るべきページは3つです
多くのBtoBサイトにはサービス紹介、会社概要、お問い合わせ、それにブログが並んでいます。
このうち商談に直接効いてくるのが冒頭の3つです。
役割を先に整理しておきます。
- 会社概要:実在する会社だと証明するページ
- 選ばれる理由:たどり着いた人を納得させるページ
- 導入事例:検索から人を連れてくるページ
役割が違うので、かけるべき力も変わります。
会社概要は情報が揃っていれば終わりです。
選ばれる理由は書く量ではなく、書く前の準備で決まります。
そして導入事例だけが、作れば作るほど効いてくるページです。

この配分を間違えたまま全体をリニューアルしても、問い合わせの数は変わりません。
会社概要は、実在する会社だとわかれば十分です
Googleは運営者が誰かを明確にすることを求めています
Googleが公開している検索品質評価ガイドラインには、次のように書かれています。
Every page belongs to a website, and it should be clear:
・Who (what individuals, company, business, organization, government agency, etc.) is responsible for the website.
・Who (what individuals, company, business, organization, government agency, etc.) created the content on the page you are evaluating.
「すべてのページはウェブサイトに属しており、そのサイトに誰が責任を持ち、そのページのコンテンツを誰が作ったのかが明確でなければならない」という趣旨です。
同ガイドラインは、ページの目的に照らして運営者や書き手の情報が足りないページを低い評価とするよう評価者に指示しています。
さらにお金や健康にかかわるページなど高い信頼が求められるページで、運営者情報がまったくないものは最低評価とされます。
BtoBのサイトは取引につながる以上、後者に近い扱いを受けると考えておくのが安全です。
連絡先についてもメールアドレス・電話番号・問い合わせフォームといった複数の手段を挙げています。
またGoogleは検索セントラルの公式ドキュメントで、E-E-A-Tのうち信頼性が最も重要だと明言しています。
Of these aspects, trust is most important.
会社概要はこの信頼性を担保する土台にあたります。
凝ったデザインより、載っている情報の数です
会社概要に必要なのは、次の項目が漏れなく載っていることです。
- 正式な会社名と読み方
- 法人番号
- 所在地(郵便番号と建物名まで)
- 代表者名
- 設立年と資本金
- 事業内容
- 電話番号とメールアドレス
- 沿革と主要な取引先
これらが揃っていれば、会社概要ページの仕事は終わりです。
法人番号を載せている会社は多くありませんが、ここは入れておくことをおすすめします。
13桁の法人番号を書いておけば、国税庁の法人番号公表サイトで商号と所在地を突き合わせて実在を確認できるからです。
国税庁は法人番号について、利用範囲の制約がなく誰でも自由に利用できると明記しています。
掲載して困ることはありません。
写真を凝ったり、社長メッセージを何度も書き直したりする時間は、後述する導入事例に回してください。
あわせてOrganizationの構造化データを入れてください
ここまでは人が読む情報の話でした。
同じ内容を、機械が読める形でも置いておきます。
それがOrganizationの構造化データです。
Googleは公式ドキュメントで次のように案内しています。
ホームページに組織の構造化データを追加すると、Google は組織の管理情報の詳細を把握して、検索結果で組織を明確化できるようになります。
設置する場所についても指定があります。
この情報を、ホームページまたは組織の説明を掲載した単一のページ(例: 企業情報ページ)に配置することをおすすめします。サイトのすべてのページに含める必要はありません。
トップページか会社概要ページのどちらか1枚に入れれば十分ということです。
必須のプロパティはありません。
自社に当てはまるものをできるだけ多く入れる、という考え方になっています。
主なものを挙げておきます。
- name:組織名
- legalName:登記上の正式名称
- url:ウェブサイトのURL
- logo:ロゴ画像(最小112×112ピクセル)
- address:所在地
- contactPoint:問い合わせ先の電話番号やメールアドレス
- foundingDate:設立日
- numberOfEmployees:従業員数
- sameAs:自社の情報が載っている他サイトのURL
先ほどの会社概要の項目と、ほぼ同じ内容が並んでいることに気づかれたと思います。
書く材料はもう揃っているので、あとは形式を変えて置き直すだけです。
前回の記事では、構造化データはAI検索のために優先して手をつける施策ではないと書きました。
ここでの目的はそれとは別です。
順位を上げるためではなく、どこの誰が運営しているサイトなのかを機械に伝えるために入れます。
とくにsameAsは効いてきます。
自社の情報が載っている外部のページを並べておくと、実在の裏付けが取りやすくなるからです。
選ばれる理由は検索されないが重要なページ
このページは3つのうちで唯一、検索から人が来ません。
それでも外すわけにはいかないページです。
なぜ検索されないのか、そしてなぜ重要なのかを順に説明していきます。
「選ばれる理由」で検索している人は、御社の見込み客ではありません
意外に思われるかもしれませんが、データを見ると事情がはっきりします。
「選ばれる理由」というキーワードの月間検索数は720回です。
数字だけ見ると需要がありそうに感じます。
しかし実際にどんな質問が検索されているかを調べると、内訳はこうなっていました。
- ワークマンの防寒ジャンパーが選ばれる理由は何ですか?
- 修学旅行で京都が選ばれる理由は何ですか?
- 結婚指輪にゴールドが選ばれる理由は何ですか?
上位はほぼこの調子で、BtoBの購買にあたる質問は見当たりませんでした。
さらに商材名と組み合わせた検索も調べてみました。
たとえば「勤怠管理システム 選ばれる理由」は、月間検索数のデータが取得できないほど検索されていません。
つまり選ばれる理由のページは、検索から人を連れてくるページではないということです。
それでも重要なのは、最後に読まれるページだからです
検索されないページに、なぜ力をかけるのか。
読まれる順番を考えるとわかります。
導入事例や広告で御社を知った人は、そのあと必ず比較に入ります。
そのとき相手の画面には、御社と競合数社のサイトが並んでいます。
比較の最後に開かれるのが、この選ばれる理由のページです。
導入事例が人を連れてくるページだとすれば、選ばれる理由は連れてきた人を受注に変えるページということになります。
力の配分を2としたのは、軽く扱っていいという意味ではありません。
書く分量が少なくて済むというだけの話です。
1ページで、しかも3つか4つの理由で決着がつきます。
だからこそ、一般論を書いてはいけません
このページを開く人は、既に御社に興味を持ったうえで最後の判断をしようとしています。
そこに「高品質」「低価格」「豊富な実績」と並んでいたらどうでしょうか。
競合他社のサイトにも同じ言葉が並んでいます。
判断材料にならないまま離脱されて終わりです。
ここに書くべきなのは、既存のお客さんが実際に口にした言葉です。
直近で受注した数社に、次の3つを聞いてみてください。
- 他にどこを検討していましたか
- 最後の決め手は何でしたか
- もし明日から使えなくなったら、何が一番困りますか
3社に聞けば、自分では強みだと思っていなかった点が出てきます。
私の経験でも「連絡が早い」「専門用語を使わずに説明してくれる」といった、社内では当たり前だと思っていた部分が決め手になっていたことがありました。
その言葉をそのまま見出しにしてください。
自社で考えた強みより、お客さんが言った理由のほうが強いです。
一番力を入れるべきは導入事例です
検索されている言葉の数が違います
3つの中で唯一、導入事例だけが検索から人を連れてきます。
「導入事例」というキーワードの月間検索数は1,900回です。
しかし本当に見るべきは、この数字ではありません。
「導入事例」から広がるサジェストキーワードは711件ありました。
その大半が「生成AI 導入事例」「RPA 導入事例」「kintone 導入事例」「介護ロボット 導入事例」といった、商材名や業種と組み合わせた形です。
先ほどの「選ばれる理由」とは対照的で、商材名と組み合わせた検索が無数に存在しています。
御社の商材名や業種でも、同じ形の検索が発生していると考えてください。

この需要の強さは、クリック単価にも表れています。
「導入事例」のクリック単価は6.65ドルで、サジェストの中には40ドルを超えるものもありました。
広告でこれだけの金額を出してでも取りに行きたい検索だということです。
質問の形が「◯◯の導入事例はありますか」になっています
実際に検索されている質問文も調べました。
需要の高い順に並べると次のとおりです。
- 生成AIの導入事例はありますか?(相対需要100)
- DXの導入事例はありますか?(57)
- チャットボットの導入事例は?(54)
- 中小企業のAI導入事例は?(49)
- 経理部門でのRPA導入事例はありますか?(41)
(括弧内の相対需要についての補足:これは「導入事例」というキーワードで抽出された136件の質問の中で、最も需要が高いものを100としたときの相対値です。)
注目していただきたいのは、どれも話し言葉になっている点です。
「経理部門でのRPA導入事例はありますか?」は、そのまま人に聞く言葉です。
AI検索が増えると、この形の検索がさらに増えていきます。
なぜそう言えるのかは前回の記事に詳しく書きました。
参考:AI検索が増えるなかで、BtoB企業が最初に手を入れるべきは導入事例ページ
検索数は減っています。それでも事例を作る理由
正直な数字も出しておきます。
今回調べたキーワードは、どれも前年同月より検索数が落ちていました。
- 導入事例:前年同月比 マイナス34%
- 会社概要:マイナス33%
- 選ばれる理由:マイナス18%
検索数そのものが全体的に減っているということです。
ではなぜ導入事例を作るのか。
検索結果を経由せず、AIの回答の中で参照される先として効いてくるからです。
Googleは公式ガイドで「実際に使った人のレビューは独自の視点をもたらす」と書いています。
一方で「既存コンテンツの要約は、どこかにある情報を述べ直しているだけだ」とも書いています。
導入事例は前者にあたります。
自社の顧客に何が起きたかという事実は、競合他社にも生成AIにも書けません。
まとめ
3つのページの役割をもう一度整理します。
- 会社概要は実在の証明で、情報が揃っていれば終わり。
- 選ばれる理由は納得のためのページで、書く前にお客さんへ聞くことがすべて。
- 導入事例は唯一の集客ページで、ここに一番時間をかける。
力の配分としては、会社概要に1、選ばれる理由に2、導入事例に7くらいの感覚です。
サイト全体をリニューアルする前に、まずこの配分を見直してください。
デザインを新しくしても、載っている中身が同じであれば結果は変わりません。
最後にひとつだけ。
今日できることは、直近で受注したお客さんに「なぜうちを選んでいただけたのですか」と聞くことです。
その答えは選ばれる理由のページにも、導入事例の冒頭にも使えます。
新しく作るものではなく、すでに交わした会話を拾い直す作業だと考えてください。
参考にした情報源
– Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
– Google 検索セントラル「Google 検索の生成 AI 機能向けに最適化するための Google のガイド」
– Google 検索セントラル「組織(Organization)の構造化データ」
– Google「検索品質評価ガイドライン」(2025年9月11日版)
– 国税庁 法人番号公表サイト
– ラッコキーワード(検索数・サジェスト・質問データ/2026年8月13日取得、日本国内・日本語)
プロフィール

- 代表取締役社長
-
2009年からSEO業界に参入し、2012年からは自身でアフィリエイトメディアの運用を開始。今日に至るまで、不動産・葬儀・印刷業など様々な分野のウェブサイトコンサルティングを担当。
現在は放置山林問題解決に向け”YAMAKAS”というサービスを開始。
https://yamakas.jp/
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